「第九地区」(2009年/米)に見られる「アバター」のデ・ジャヴというやつ

希望も残らないパンドラが実は地球。しかも蛮族が住みつくヨハネスブルクだったという映画

ドクター・マンハッタンがやったように爆散する肉体。指切り。飛び散る黒いゲロ。そして蛮族。潔癖むきだしの「ラブリーボーン」がアレ……だったのにどうしたんだ。監督が違えど、「怒りのヒポポタマス」を彷彿させるピーター・ジャイアニズムに溢れたこの映画をもっと称えるべきだと思う。あ、もう称えられているか。

搾取する側だったヌケ作な主人公が、いつのまにか搾取される側になって……という、異民族(エイリアン)に化けて、化かされて闘うという昔ながらの様式美というのは、「アバター」とまったく同じことをやっていて、しかもそういう内容のSF映画を同じ年に公開されたというのは、ある意味奇跡かもしれない。

片や異民族のカノジョを救うため、人類製パワードスーツと素手でガチンコし、片や異民族製のパワードスーツを装着し、エイリアン親子のため、対物ライフルやRPG弾幕に飛び込む。童貞イズムな拙僧にとっては、後者のほうが泣ける。泣けるにきまっているじゃないか。

ネタバレになってしまうが、「アバター」同様、「人間のカラダを捨てちゃうエンド」になってしまうけど、エビ異民族の見てくれがナヴィ族と比べて醜すぎるせいか。オチがギャルゲで例えるところの、トゥルーかバッドエンドであり、ヒロインとくっつくかくっつかないか、リア充かオタクなんかのそうでない者の格差見せられたようであり、なんだか拙僧が「アバター」と比べて観てしまったせいか、非情に鬱になり、クリストファーの「三年後に必ず戻ってくる」という台詞で涙腺にグッときてしまった……。

あ、あと「エビとセックスなんてしてない!」という台詞は「アバター」をある意味皮肉っているようで、個人的にお気に入りかも。