地獄少年

どうでもいいけど拙僧は最後の昭和生まれ、ゆとり教育の申し子なので、成人式に行った。ほんとは行きたくはなかったが、成人式に行かなかった同大学の先輩がとりあえず行っといたほうがいいと押されたので、とりあえず行ってみた。人がたくさんいて死にたくなってくる。昔の友人にも会った。が、同じ年齢とは思えないくらい人間として活き活きしていて、何だか死にたくなってくる拙僧。

「今何してる?」のお決まりの疑問形。

美大で写真とか映画とか学んだり、撮ってる」

美大?へえ……じゃあ、将来はカメラマンか監督とか目指してるの?」

「……」それから何も言えない拙僧。死にたくなってくる。




それはそうと、ヘルボーイ/ゴールデンアーミーを観た。傑作だった。デルトロワールド炸裂。フリークスのお祭り。一応、ネタバレを含みます。

「心は人間になる」と前作、この映画におけるフリークス達の「父」であるブルーム教授は言っていた。この映画の冒頭はその父から始まり、本編では、父が不在である。

音楽がダニー・エルフマンだったせいじゃないけど、これはデルトロ版「バットマン/リターンズ」ではないかと思う。ようするに、「ダークナイト」に無かった「フリークスに対する暖かい愛情」というやつ。言い換えれば、オタクがフリークスに注ぐ暖かい愛情、同属意識。作り手である監督自身がこの映画における「父」になってしまうこと。ピーター・ジャクソンの「キングコング」だって、あのキングコングは、世間から隔離されるオタクの恋愛映画だった(と思う)。

このヘルボーイも、そういったフリークスの悲哀がどことなく漂っていて、泣けてくる。人間に石を投げられるヘルボーイ、それを庇うリズにも泣け、ヌアラに恋するエイブにも泣けてくる。喧嘩をし、バリー・マニロウを歌い、酒を飲み交わし、恋に悩み、妊娠もする。見た目は人間じゃないのに、ほとんど人間と変わらないフリークスに対するデルトロの父親らしい暖かい愛情が伝わってきた。終盤、死の天使が世界の終わりとヘルボーイ、どちらを取るのかと迫られる。まるで「マトリックス/リローデット」の終盤と似たような究極の選択をリズに迫る。ヌアラもそうだってけど、あれが彼ら、特にデルトロの自身のフリークスから人間に対する答えかもしれない。