冒頭のマクロ化

・T1、T2で、冒頭部分でちょこっと出てきたJ-DAY後の戦争を二時間にまとめたのがT4って書くと、何だかスピルバーグの「プライベート・ライアン」の残虐オマハビーチの冒頭を二時間に延ばした、リドスコの「ブラックホーク・ダウン」的な解釈をしてしまう。

・ってなわけで「ターミネーター4」観てきた。理不尽に感想を徒然書くので、ネタバレありです。

・ドラマ版とT3は無かったことになってるらしく、それじゃあまるでミレニアムゴジラである。

・ブラッド・フィーデルのおなじみスコアを冒頭に叩き込み、ダニー・エルフマンのジマー節にしか聞こえん燃えスコアに続き、TVMパトリオット(?)主観の奇襲から、A-10が空中支援の後、ブラックホークから地上部隊のドンパチ、キノコ雲への流れが気持ち良すぎる。冒頭から見せ場を必ず作るスピルバーグ的な火薬、音響、特撮コントロールの近代ハリウッド黄金比というやつ。「スター・トレック」「リスカ王国」といいILMは爆発への愛着が尋常じゃない情熱を感じる。

平成ガメラが面白い理由は、「リアル軍隊で化物倒せるんじゃね?」という厨房的オタクの願望を見事に叶えてくれた映画であり、トランスフォーマーという映画もそうだった。だからこの映画で、レーザーではなく、実銃、実兵器を使ってくれたのはとてもうれしかった。

・サイバーダイン製の多種多様な骨格メカが、うじゃうじゃ登場。スーパーミュータントの代わりに、骨格メカが廃墟の荒野を闊歩する「フォールアウト3」といった趣き。カイルが、幼女と二人だけのレジスタンス♪と痛いことを吐き、いちいちターミネーターの解説、弱点とかを教えてくれる。お前はポケモン図鑑か。

・一定の高周波を浴びせると暴走するターミネーター。劇場版レイバー1みたいだ。もしかしたら、5でジョンはバビロンプロジェクトとか言い出して、方舟とかおっ建てて、アウター・ヘイヴンする話になるのかもしれない。

・最後に出てきたサイバーダインの工場がとてもダサイ。金門橋の奥にデーンと要塞が建っている構図。まるで90年代初頭のゲーム並の頭の悪さで、煙突からボンボンと炎が吹き上げているのを見ていると、何だか気恥ずかしくなってくる。ロリ顔のヘレナ・ボナム=カーターの顔がスクリーンいっぱいに出ると、80年代のアニメを見ているみたいだ。

・T1は人間とロボと未来人のディスコミュニティなコント映画だった。T2は金を掛けたコント映画だった。T3はほとんどシュワの同窓会コントだった。んで、T4のシュワに代わるボケ要因は、マーカスになるかもしれないけど、突っ込み役であるジョンが何故かツンデレと化してしまい、伝統であるコントは即崩壊。マーカスを殺るぐらいツンツンしていた後に、突然、やっぱりお前のこと信用していた的な、男の友情を超越した流れへと至り、何とも腑に落ちない不穏な空気が作品に流れ始める。この二人って、腐った人仕様だとしか思えん。その関係に取り残されたカイルがとても可哀想。

・コントが崩壊したといえ、コメディが皆無というわけでもなく(ジョンが海に落ちるとか、マーカスが地雷踏むとか、ショットガン奪い合うとか)笑えないわけではないけど、でもなにか一つ、ターミネーター的な要素が何か欠如している。おしいと言われるのは、このせいかもしれない。

・まあ、そんなこんなでいろいろと突っ込むところが満載で、楽しめる映画でもありました。以上。